第41章 恋する細胞 岩泉一
落ち着かない気持ちのまま、放課後を迎える。教室の窓から見える正門にはまだ岩泉君の姿はなくてホッとしていると後ろから“おい”と低い声。
「……はい?」
恐る恐る振り返ると仁王立ちの岩泉君。………ですよね。
「あの…、正門じゃなかったっけ?」
「行くって返事聞いてねぇし、逃げそうだったから」
「逃げるつもりはなかったよ。…でも、あのね」
「つべこべ言わねぇで行くぞ」
「……あ、はい」
鞄を背負って岩泉君の後ろにつく。感じる他の女の子たちの視線の中をぺこぺこ頭を下げながら教室を出て、廊下で並んで歩く。
「それで、どこ行くの?」
「服買いに、…ちょっと遠いけどアウトレットモールにでも行くか?」
「このまま?」
「当たり前だろ?」
それはもしかして…、せ、制服デート。いや、別に付き合ってる訳じゃないからデートっておかしいけど、でも知らない人が見たらそう思うようね。私ならそう思うもん。
友だちとすら行ったことないのに、初めてが異性とだなんて…。