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(R18) kiss hug ❤︎ HQ裏夢

第1章 ❤︎ 指先に触れたもの 及川徹


「全然気付かなかった」
「そういう素振りは見せなかったからね」
「及川君って本心見せないよね…。岩泉君とか近くにいる子なら分かるんだろうけど、私にはずっと優秀な後輩にしか見えてなかったから」
「そう装ってた、かな、実際は…。でも考えてる事読まれてるようじゃセッターなんか務まらないもんね。キャプテンだってそうでしょ?」
「そうでもないよ。私から気持ちが離れてるのは気付いてたから」
「そっか。…辛いよね」
「うん、でも今よりもその時の方が辛かったよ。だから大…」
「大丈夫なんて言わないでよ。もうそんな平気なフリしなくていいからさ…」

また泣いてるんじゃないかって不安で、先輩の頬に手を添えた。柔らかな頬の感触、そして指先に触れた唇。

「ほんとはね、全然大丈夫じゃないけど、でもどうしてかな。今はそれを忘れちゃうくらいドキドキしちゃってる」
「俺も…」
「嘘だ。一人余裕ぶってるのに」
「実際は緊張もしてるよ?でもこの手を放したくないだけ」
「ありがとう。こうしてるの少し慣れてきたかも」
「そう?ならよかった。もう少しこうしてたい」
「もう少しだけだよ」
「ありがとう」

先輩の頸にキスをするようにそっと触れた。柔らかな髪の毛から香る知らない匂いなのに不思議と落ち着く。束の間、しんと静まったランチルームに二人の息遣いだけが聞こえていた。

「やっぱり及川君の指って綺麗だね…。こうやって間近で見たことないかったから」
「そうかな?」
「私も正直に言うね。及川君の事、格好いいって言う人は多いけど、私にはすごく綺麗に映ってたの。彼がセッターだったからってのもあるけど、トスを上げる瞬間はスローモーションみたいに見えて。手からボールが離れて空を切る指の先まで、すごく綺麗なの」
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