第41章 恋する細胞 岩泉一
「こんな中途半端な時期に転校して来ちゃったせいかな…。もうすでにグループが出来ちゃってるし今更入れてくださいって言うのもね…」
「昼飯もここで食ってんのか?」
「…教室で食べたりもするけど、居心地が悪い時には屋上行ったりこの辺りで食べたりしてる」
何て言っても今日選んだ場所はトイレにも近いんだからね…。あーあ、この陰気くさい感じが情けない…。
「お前、部活なんかやってたんか?」
「へ?」
「友だちいねぇんならなんか部活にでも入ったらいいんじゃないかと思って」
「でも中途半端なんだもん…。前の学校ではバレーボール部に入ってたけど今から入るなら園芸部とかかな…」
「お前、バレーやってんの?」
「いや、だから前の学校の話だけどね。しかも万年補欠組……」
「あのさ、昼休み暇ならボール出し手伝ってくれねぇ?」
「え?私が?…でもすっごく下手だよ?」
「…そりゃあ、まぁ多分……」
「俺もここで飯食うから残りの時間、俺に付き合ってくれ」
「私と一緒にお昼食べてくれるの?」
トイレの横なのに…?って事はあえて言わないけど。
「誰と食ったっていいだろ?試合が近いんだよ。暇なら手伝って欲しい」
え、ほんと?マジで?地味な私でいいの?人選ミスじゃね?なんて頭は高速回転してるけど。
「…私でよければ」
少し気取って返してみた。
「サンキュ」
そのまま岩泉君は何人前あるの?ってくらいの大きなお弁当を広げて、がっつく…いやワイルドに食べ始める。それでも例えトイレの隣であろうと誰かと食べるお弁当はいつもよりずっと美味しかった。うん、例えトイレの隣でもね……。