第40章 ❤︎ 電車の中のハプニング 鎌先靖志
せっかくのイベントの合わせて出てきたのに俺たちの事情聴取も終わったのは昼過ぎだった。近くの公園でいちかが落ち着くまで待った。だけどその間ずっと自分がちゃんと守ってやれなかった悔しさと苛立ちでやり切れなかった。
「いちか、悪かった。そばにいたのに気付いてやれなかった」
「私こそごめんなさい。せっかくのデートなのに…」
「なんでいちかが謝んだよ。悪いのはあのオヤジだろ!」
自分の不甲斐なさに苛立ちを隠せず、つい声を荒げいちかに八つ当たりしてしまう。
「悪い…」
「いえ…」
「なぁいちか。…デートの行き先、変更してもいいか?」
「…え?」
「あのオヤジが触ったとこ、消毒したい」
「…でも、どうやって?」
「この辺って確かホテルとかあっただろ?俺も行ったことねぇけど」
「大丈夫なのかな。私まだ18になってない」
「年齢確認なんてされねぇって聞いたことあるから大丈夫だろ。これからうちに戻るまで待てねぇよ」
俺は繋いだままの手をぎゅっと握りしめた。いちかも戸惑ってはいたけど泣きそうな目で俺を見つめてから小さく頷いた。