第5章 ❤︎ 三日間ハメまくった記録 黒尾鉄朗
交代でシャワーを浴びた後はパスタが食べたいといういちかの要望通り近くのイタリアンの店に行った。美味いワインを飲みながら程よい距離でなんでも話し合える関係ってのは貴重だ。昨日は酔ったままの勢いで仕事の愚痴が話メインだったのに真面目に夢や目標なんかを語り合う俺たちがいた。
“鉄朗ともっと早くに再会してたら良かった”っていちかの言葉にうっかり“俺も…”って言いそうになったけど今は適切じゃないと堪える。いちかが彼氏といて幸せならこのまま三日間の事はなかったことにするつもりだけどもしそうじゃないなら俺も違う選択肢を持ってもいいよな。
「ねぇ、鉄朗、手繋いで帰ろうよ」
「こういうのも彼氏はしねぇの」
「当たり。そもそもインドア派だから外食もあんまりしてくれないんだ」
「じゃあ何やってんだよ」
「ほぼゲームだよ…」
「お前、ゲームなんてするキャラだっけ?」
「ゲームがきっかけで仲良くなったくらいだから嫌いじゃないんだけど、でも今はさすがに飽きてきてる」
「それって彼氏自体に飽きてんじゃねぇの?」
「あ、案外そうかも!だから私も変な気起こしちゃったのかな?」
「今気付くことかよ」
「だって今彼氏に振られたらあの事故物件で一人暮らししなきゃいけなくなるから」
「すげー理由だな」
「まぁ、ちゃんと好きって気持ちもあるけど…」
「なんだよ、それ。いい加減だな」
結局好きなんじゃんねぇかよ…。けど、あんま嬉しそうに話さねぇ感じ終わりが見えてんのかもな…。なら俺がこのまま奪うのも有りだなとふっと湧いた感情に任せいちかの手を取った。