第37章 ❤︎ 飽くなき探究心と勇気を持って澤村大地は購入ボタンを押す
「止めて。もう、無理なの」
「そのままでいいから。イキたくなったらイっていいから」
「あ…。あーっ……」
いちかの声が甲高くなった。それは初めて聞くトーンでその直後に腕の中で大きく跳ねた。体が小さく不定期に痙攣する。アダルドビデオではよく見覚えのある光景だった。俺も何故か鼓動が高鳴って汗ばんだ体を抱き締めた。
「悪い。…やりすぎた?」
小さくて短い呼吸を肌を通して伝わってくる。こんなの使ったこともないし、使ったからって死ぬわけじゃないし。でも、イカせたことも未経験で少しの罪悪感。
「だい、ち…」
鼻声で弱々しい声。そんな声ですらこんなに可愛く感じて堪らない。
「もしかして、今の、イッた?
「そんなの知らないよ。私、イッたことなんてないもん。…」
「え、でも……」
「分かんないけど、…なんか、すごく気持ちいい。今
「マジで?」
「気持ちいいから。ね、続きしよ?」
「……っ、ごめん、俺、もう無理だわ」
テレビに流れっぱなしの映画はシリアスなシーンを描いている。なのにこっちは真逆で付き合って以来最高潮に盛り上がっているかもしれないという状況。
いちかの“しよ?”と可愛い声が脳内に何度も響く。サイドテーブルのコンドームに手を伸ばしてもう一度装着する。一秒たりとも待ちたくないのに、片手しか使えない状況でぬるっとしたゴムに悪戦苦闘する。
「そのままきていいから」
「いや、だってそれは」
「もうすぐ生理だもん。一回くらい平気」
「そういう問題じゃなくて」
「大地がゴム着けるの下手なんだよ」
そんな煽りにまんまと引っかかる俺じゃないのに、その言葉に胸を熱くして寝バックの姿勢でそのまま流れるように自身を押し込んだ。包み込む熱いうねりのような初めての生の感触。すでに余裕なんて微塵もなかった。