第35章 ❤︎ HOW TO SEX 木兎光太郎・赤葦京治
週末らしく駅前はどこも賑わっていた。予約してあると言っていたお店はお洒落な肉料理がメインの居酒屋。肉が食べたいと先輩のリクエストらしく案内された部屋は4名用の個室だった。
「先に着いて飲んでるってさっき連絡きてた」
「そうなんだ。ああ、なんかドキドキしちゃった」
「なんで?木兎さんは全然変わってないよ」
「そうだけど。それでも私には重大な局面なの」
「大袈裟すぎるから…」
襖を開けると赤葦の言った通り先輩は先に着いていたらしくテーブルにはビールのジョッキがすでに空いていた。お酒には強いとは聞いていたけどさすがだ。
「え?いちかちゃんじゃん!何?どうして?」
「ああー!本物だぁ」
あの憧れだった先輩がいる。正直言ってやばい。薄暗い店内なのに高校時代よりキラキラ度が増してて眩しい。後光差してる。
「さっき偶然会ったんです。いちかに会いたいって言ってたでしょ?」
「言ってた言ってた!でもこんな早く会えるなんて思ってもなかったからびっくりなんだけど」
「ほんとに偶然京じと会って。それで私も参加していいって聞いたんでついてきちゃいました」
「めちゃくちゃ嬉しいんだけど。いちかちゃんすげぇ綺麗になったじゃん」
「そんなっ、全然です…」
「なんつーかさぁ、色気出たっていうか…。なぁ赤葦!」
「まぁ高校時代よりは垢抜けましたね。とりあえず飲み物でも頼みましょう。いちかはビールでいい?」
「うん」
「結構飲めるの?」
「まぁ人並みには…」
「じゃあ今日は俺の奢りだから好きなだけ飲んでよ」
「ありがとうございますっ」
「この人調子に乗って飲ませてくるから程々で」
「うん、了解。でも負けないよ」
「いいねそのノリ!最高じゃん」
先輩のハイテンションについつられてしまう。思えば今日は早い休憩で夕方にはすでに空腹だった。空きっ腹を埋めたアルコール、当たり前に回るのも早かった。