第34章 ❤︎ かまって…? 縁下力
密着する体は湿度も温度も上げて互いに見つめ合う瞳が熱っぽくなる。阿吽の呼吸のようにどちらともなく唇が重なった。
「んっ…」
控えめなキスから自然と舌先が絡む深い口付けになっていく。頭の奥がぼんやりして交わり合うようなキスが止まらない。
リップ音が耳に触れて呼吸が荒くなったころ、唇がようやく離れたかと思うと唾液で濡れた口元力君の指がゆっくりと入ってきた。
「俺の指、咥えててください」
吐息すら気にしているのだろうか。器用に服を脱がしながら唇で首筋や耳元にキスを落としていく。力くんのひとつひとつの動作にドキドキして目が合うと恥ずかしくって目を逸らしてしまうけどそれを力君は許さない。
「いちかさん、視線はこっちで…」
「久しぶりで、なんか恥ずかしい」
「恥ずかしがるのが尚更可愛い…」
自分から誘っておきながらあっという間に力君主導権を握られるなんてむしろ私得な展開ではある。求めた以上に求められる幸せ。