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(R18) kiss hug ❤︎ HQ裏夢

第32章 君の手をとりたかった理由 黒尾鉄朗


体育祭も大詰めで残す種目は借り物競走だけとなった。結局斉藤君がプレッシャーによる体調不良ということで棄権。俺が特別に代走することとなった。クラスの連中は喜んでたけど夜久は心底嫌そうな顔をしていた。

俺は騎馬戦で勝てたし、借り物競走なんてどっちでも良かったけど、夜久の嫌そうな顔に俄然やる気が出る。

「今回は回避したと思ったのに」
「ザーンネーン。最後の体育祭なんだから俺と夜久で盛り上げねぇとなぁ」
「そういうのが面倒なんだって」
「まぁそう言わないで。せっかくなんだし楽しもうぜ」
「いいよな…。お前は…」

俺たち三年は最後の組とは言え、誰かがゴールする度に盛り上がり俺に向けた声援も聞こえてくる。自分のクラスに向かって手を振れば女の子の黄色い声援、そして控えめに俺に笑顔を向ける柳瀬さんの姿。

正直それだけでテンションは上がってついニヤけてしまいそうになる

「あー…もう俺、負ける気しねぇわ」
「お前何ニヤけてんの」
「教えない。俺だけのもんにしときたいから」
「……聞きたくもないわ。つか、そろそろ出番な」

夜久に促されてスタート地点に立つ。さすがに適度な緊張感を感じながらいちど深呼吸してからスタートの合図を集中して待った。

“パァン”とはじかれたスタートに夜久と競いながらダッシュする。中継地点には箱には何枚かの紙が入っていて選んだ紙には“好きな人”とだけ書かれている。

“3年5組、黒尾君の選んだ紙には【好きな人】と書かれています”とアナウンスが入り、考えるよりも先に浮かんだのは柳瀬さんの顔。

「マジかよ」

たったあれだけのことで惚れちゃう俺って何よ…と惚れっぽい自分に呆れるけど、案外しっくりとはまった自分の気持ちに嘘もつけそうにない。ってことで俺は真っ直ぐに柳瀬さんの居る自分のクラスへと向かった。

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