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(R18) kiss hug ❤︎ HQ裏夢

第32章 君の手をとりたかった理由 黒尾鉄朗


そして迎えた翌日の体育祭当日。委員会での最終的な打ち合わせをしながらクラスメイトに競技メンバーの変更を伝える。

「ええ!?クロ、今回は借り物競走出ないの?」
「そ、斉藤君の代わりに騎馬戦出るから応援してねー」
「誰のところ?」
「柳瀬さんのところ」
「えー?柳瀬さん、ズルーい。それなら私が騎馬戦出ればよかった

おいおい、そんな大きな声で言ったら本人に聞こえるでしょうに…。

「また今度な?」
「今度って…、私たちもう卒業してるじゃん。今から変わって貰おうかなぁ」
「もうメンバー表は提出済みデース。残念でした」

そうは言っても全然納得してないといった様子で、柳瀬さんの方を見てはコソコソとあからさまな態度。

「俺が決めたんだから文句ないだろ?」
「でも去年の借り物競走の時すっごく盛り上がったじゃん。今年も夜久君も出るっていうんだからさライバル対決見たいよー?」
「そうだよね、どうせ騎馬戦なんて負けるの確定してんだからいいじゃん」
「負け戦ってやつ?」
「それー!だから元々やる意味ないんじゃん」

女子の一人がチラっと柳瀬さんの方に視線を移しながら“今ならまだ間に合うんだけどなぁ”と声を上げる。残りの二人が同調するように頷いてクラス中の雰囲気がしーんとなる。さすがにそれはさ、ダメでしょ…。

「俺が夜久と競うのが嫌なんだよ。体育祭くらい好きにさせてくれ」
「ええー!?でも…」
「今回は俺が騎馬戦に出たいの。だって勝たせてやりたいじゃん」
「柳瀬さんを?」
「そう」
「なんで?クロとなんかあんの?」
「いっつも応援してくれてるから」
「は?なにそれどういう意味?」
「内緒…」

“えー!?”という声を背中で受けながら、俺は真っ直ぐ柳瀬さんの元へ向かう。

「柳瀬チャン、行こっか?」
「へ?」
「本番前に練習な?」
「あ、うん」
「山田君と山下君も悪いけど来てくれる?作戦会議もしたいし」

ザワつく教室。だけど今はんなもんどうでもよくて、二人にそれだけを伝えると柳瀬さんの手を取って教室を出た。

あのくらいの事、いつもは何とも思わないけど、柳瀬さんのことを馬鹿にされたようでそれが無性に腹が立っていた。

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