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(R18) kiss hug ❤︎ HQ裏夢

第30章 ❤︎ 恋に落ちる条件 松川一静


教務室では案の定、柳瀬の妊娠疑惑の事を聞かれた。教務室の空気はピリピリムード、生徒指導の担当は明かに俺を疑っている。とは言え噂そのものが事実誤認であるし、昨日の一連の流れを一通り説明し妊娠の事実はなかったと伝わると教員も安堵した様子でそそくさと返された。

「松川ばっかり喋らせちゃったね。私の出る幕がなかったじゃん」
「さっさと話も終わらせたかったしただの噂なんだし毅然とした態度で否定しないとな…。柳瀬ってこういうの苦手っぽいし」
「そうなんだよね。なんかすぐ茶化しちゃうところあって説明しても全然伝わらなかったりするの」
「だろうなって思って」
「最初から最後までほんとにありがとう。こういうことされると更に噂が広がって大きくなっちゃうのにね。先生達ってそういう事分かってないよね」
「ほんとにな…。でも柳瀬もそんな気にしてないようだし良かった。学校に来れなくなったりしたらそれこそ問題だし」
「その辺は大丈夫。図太くできてるから」
「頼もしいな」
「松川ほどでもないけど。…ねぇ、もうこのままさ、次の授業サボらない?」
「俺はいいけど、そんな事したらまた噂になりそうだな」
「妊娠疑惑で教務室の呼ばれたってもうすでに噂になってるし、私たちが戻らなくてもどうせクラスでは言いたい放題言ってるんだろうし、いちいち弁明するのもダルいもん」
「ははっ。言えてるな」
「松川には迷惑かけたけどだからって誰かを傷つけた訳じゃないから。あとは時間が解決してくれるよね」
「そうだな…。後で及川は謝ってくるだろうけど無視でいいから」
「そうだね、もう終わった事だもん」

そう吹っ切れたように笑う笑顔。日差しに目を細める横顔も俺には特別に映った。

中庭着くまでは途切れることもなく他愛もない話が続く。静かな廊下に二人の会話だけが響いた。
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