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(R18) kiss hug ❤︎ HQ裏夢

第30章 ❤︎ 恋に落ちる条件 松川一静


「陰性…だった」

ドラッグストアから少し離れた公園。もちろんもう外は真っ暗で電灯だけがベンチを照らしている。公衆トイレから出てきた柳瀬の手には先程一緒に買いに行った検査薬の箱。神妙な顔つきでそう言った。

「…そっか」
「……ん」
「……なら、よかった…って言っていい?」
「うん…。めちゃくちゃホッとした……」
「……じゃあただ遅れてるだけって事でいい?」
「そうみたい。寝不足とか続くと私たまに不順になっちゃうんだけど、徹と別れてからしばらくちゃんと寝れてなかったんだよね…。それも原因かな」
「そりゃそうだろうな。向こうはさっさと次の彼女つくってんだから残されたもんは残酷だな…」
「でも徹を責める気はないの。元々分かってた事だから。……妊娠もしてなかったんだしもう後悔もないよ」
「にしても俺ならちゃんと考えた上で付き合うし、付き合う上で何か問題があっても解決できるようにしたいけどな。及川にとっての恋愛がなんなのか知らないけど…」
「ねぇ…」
「何?」
「松川ってさ、チャラそうなイメージもあったけど、実際全然違うよね。そんな風に言葉にできるなんて格好いいよね」
「俺、なんもしてないのに噂ばっか一人歩きしてんの。もう面倒だから否定も肯定もしないだけ」
「だから余計ミステリアスなんだね、松川って。最近は席も近くてよく話してたからいい意味でもイメージが崩れちゃった」
「それは褒めてるんだよな?一応」
「そうだよ。こんなに遅くまで付き合ってくれたし感謝してる…。でね、結果が出るまで考えてたんだけど…。よく考えたらさ先月アプリのアップデートし忘れてて記録できてなかっただけかも…って」
「おい…」
「記憶が曖昧だったからって言い訳はできないけど結果も陰性だったし多分大丈夫だから。松川に感謝しなきゃって思えば思うほど申し訳なくて……。ほんとにごめんなさい」

目の前で両手を合わせて頭を下げる柳瀬。俺は別になんとも思ってない分、そんなに必死に謝る姿がなんだかおかしくて思わず頬が緩む。ころころ変わる表情だって可愛く映って見えるから。

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