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(R18) kiss hug ❤︎ HQ裏夢

第30章 ❤︎ 恋に落ちる条件 松川一静


「松川ってさ、あんまり話した事なかったけどめちゃめちゃ優しいね」
「…そりゃどうも」
「思えば徹と別れてから同じバレー部繋がりだし愚痴もたくさん聞いてもらったよね」
「席も近かったし明らかに暗い顔してたから気になってた…」

及川と別れた事は俺にしてはチャンスではあった。でもずっと及川を求める姿は俺が側で見ていても辛そうだった。

「徹も優しかったんだよ。すごく…。こんな時にまでそばにいてくれたらって考えちゃうなんてね。……ほんとに大好きだった」

今だって柳瀬の心の中には及川がいて、過去形にはしたくなかったんだろうな…って、俺も想いを一方的に寄せるしか出来ない側だから痛い程理解できる。

「及川の事、忘れる気あるの?」
「忘れたいよ。…でもそんなに簡単じゃないから。もがいてもがいて気持ちも全部吐いて吐き出して忘れようって思って…。そしたらほんとに吐いちゃった」
「今回の事は関係ないと思うけど。…でも愚痴くらいは付き合ってやるから。うちのキャプテンが迷惑かけてんだし」
「ただの尻拭いじゃん、それ」
「恋愛に関しては自由人だからな、及川は」
「あははっ、言えてる」

柳瀬は笑いながら“…でもね、それでもよかったんだ”と続けた。

一方的な想いが報われてもそれがいつまでも続くとは限らない。残された者が背負う感情は笑って過ごせる程楽なものでもない。かける言葉も無意味だとしてもせめて今は柳瀬の側にいたかった。
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