第5章 ❤︎ 三日間ハメまくった記録 黒尾鉄朗
「言ったところで帰ってきてなんてくれない。今、沖縄だよ?電話だって電源切られてて繋がらない」
「こんな夜中だしな…。寝てるんじゃない?」
「じゃあせめて寝る前とかにさ、おやすみの一言くらい送ってくれてたってよくない?」
「それは…、そうね……。だからってさ、俺抱き締めてもどうしようもないよ」
「分かってる。でも今日は帰さないから…。今、決めた」
「おーい。俺の話聞いてた?」
「聞こえない」
「嘘つくな」
「何もしないからこのまま寝よう。少しだけでいいから…」
それさ、普通男が言うセリフなんだけど…。
でも寂しげな瞳と弱々しい声につい放っておけないって言い訳に似せた動機に“少しだけだからな…”と応えてしまう己の弱さ。小さく“ありがとう”って顔を埋めるのが可愛いとか勘違いしまうのはもう絶対アルコールのせいにしておくけど…。
他人の家で熟睡なんてできるタイプじゃないけど深い眠りについていた。ふと目が覚めた時はま5時過ぎ。薄暗い部屋の中でもいちかの規則的な吐息が聞こえてくる。眠ってても男にぴったりとくっついている辺り一般論としては相当可愛いんだけどな…。なのになんで一人にさせるかなってこいつの彼氏が理解できねぇな…と狭いソファーの上でため息をついた。