第5章 ❤︎ 三日間ハメまくった記録 黒尾鉄朗
「オイ、そんなの聞いてねぇけど大丈夫なのか、それ…」
「住み始めて2年経つけどパッチ音すらしないよ?私霊感なんてないもん」
「そーなん?」
「うん。いたって健康だし」
「…ま、案外そういうもんなのかもな。俺もそういうのは信じてねぇし」
「あー、でもこの部屋に住み始めて男運は悪くなったかも」
「なんで?」
「連続で振られてるから…」
「お前が?」
「そう。大学時代モテモテだったこの私が…。セックスだって好きだし結構尽くすタイプなのに」
「知ってる。自慢してたもんな」
「今の彼氏もさ、真面目な人だからいい人だろうなって思って付き合ったんだけどさ。なぁーんかいつも冴えないし、セックス下手だし回数少ないし、今回だって彼女より家族旅行優先して3日も帰ってこないし」
「家族旅行は許してやれって。前半は努力しろと言いたいけど」
「ここ二か月くらいしてないし」
「マジで?」
「あと一か月してくれなかったら別れてやるって決めてる」
「で、あいつら呼んだわけ?」
「そう、一人で居たら変なマッチングアプリ使っちゃいそうだし」
「今、流行ってるもんな」
「別れるまでは浮気しないって決めてるから。……一応」
そう言っていちかはぐいっとビールを一気に飲み干した。元々アルコールは強かったけど顔色一つ変えないでいい飲みっぷりだこと。
「ま、飲めや…。いちかチャン」
「ありがと。てつろー君」
笑うと可愛いとか思ってしまう辺り、俺も仕事ばっかやってねぇで本格的に彼女見つけねぇとな…と次は二人分のグラスにスパークリングワインを注ぎ、静かに乾杯。
社会人あるあるな愚痴から始まって大学時代の知られざる互いのエピソードに大笑いして気の知れた仲間とプライベートで飲む酒がこんなに美味いんだって思うくらいに時間とともに酒が進んだ。