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(R18) kiss hug ❤︎ HQ裏夢

第26章 ❤︎ 抱き締めた君との未来はなくても 菅原孝支


「未練がましいって思われるだろうけど…。捨てられなかった」
「そっか…」
「別れた時言っただろ?俺はずっと待ってるって」
「もう一年も経つんだよ?」
「一年くらいじゃ忘れられないだろ?」
「まだ好きでいてるれるの?」
「……好きだ。ドアスコープからいちかが見えた時、心臓止まるかと思った」
「こんなに好きでいてくれるのに私、なんで孝支と別れちゃったのかな」
「そんなの俺が聞きたいって」

別れてからもこんな風に頼ってきてくれて、俺のことがまだいちかの中に残ってたって事実がほんとは嬉しいとさえ思ってる。

「お願いがあるの」
「何?」
「何にも考えなくていいから、今夜、抱いてくれないかな?」
「なん、で?…え」
「性処理に使ってれてもいいから。お願いできない?」

心臓をきゅっと掴まれたように心拍数が急激に上がって軽く目眩さえ感じた。簡単な言葉さえなかなか理解が追いつかない。

「何があったんだよ」
「なんでもないよ。大したことない」
「俺にそんなこと言うなんて余程のことだろ?」
「そうでもない。でも、なんとなくそんな気分だったから。嫌なら大丈夫だよ…」
「ちゃんと話そう。俺だって話くらいは聞くから」
「………ごめん」

いちかの声が震えていた。これが寒さだけのせいじゃないってことくらい鈍感な俺でも分かる。抱き締めたいのに躊躇う両腕。暫しの沈黙にメロディに合わせて“お風呂が沸きました”と機械音が知らせた。

「けどその前に風呂…、な?」
「じゃ一緒に入ろうよ」
「いやでもっ…」
「中でゆっくり話そ?」

涙目で見つめる上目遣い。別れた時と同じシチュエーションにあの時の切なさがフラッシュバックする。もしもう一回チャンスがあるなら、って何度も後悔したあの瞬間。言葉が見つからない。ただ力一杯抱きしめるしかできなかった。
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