第21章 ❤︎ ATTENTION‼ 松川一静 花巻貴大
「何だよこれ…」
ビタミン剤にしてはやけに苦甘い。お馴染みの味ではなく今まで感じたことのない違和感を感じた。
「おい…、これ……」
「まっず……」
「え、なにこれ。なんでこんな美味しくないんだろう」
持ってきた本人ですら困惑している。てか飲んだことないの持ってきたの!?
「これ、ビタミン剤だよな…?」
ちゃんとラベルを見ておけばよかった。ビタミン剤…とも書かれてはいるけどラベルに書かれていたのは…。
「「カリスマ如意棒…EX」」
花巻と声が被った。しかもよくみると明らかに男性器をイメージしたであろう亀の頭のイラストが描かれていてパッケージからすでにただならぬ雰囲気を醸し出していた。俺と花巻はすぐに察したけどいちかはまだ分かっていないようだった。
「これさ…ビタミン剤じゃなくて精力剤じゃない?」
「へ?精力剤?」
「だから。これはビタミン剤じゃなくて男の“オトコ”な部分を元気にする飲み物だ」
「へ……。え!?ええええ!!???」
「待って、俺。全部飲んだんだけど…」
「私も飲んじゃったよ!?」
互いに目を合わせてあたふたしている二人。
「ごめんねっ。パパの書斎にたくさん置いてあったからそんなものとは思わなくて」
「おい、パパよ……」
「花巻、それ以上は言うなって。パパにはパパなりの事情があるんだろうから…」
「ほんとにごめん!!私全然知らなくて…」
「まぁ別に体に害があるもんじゃないと思うし今疲れてるから俺たちには丁度いいんじゃないの?花巻も調子上がるんじゃない?」
「それもそうだな。後味の悪さ以外はなんともないしいちかも気にしなくていいから」
「うん…。ほんとごめんね?」
「気にしない気にしない。じゃあ俺たちもサーブ練始めるから。いちかも片付け頑張って」
「ん、ありがとう。終わったら声掛けに行くから」
「了解。じゃあまた後で…」
「うん。また後で」
いちかのことは気掛かりだったけどそんな即効性はないだろうしと俺と花巻は体育館で残りいちかは倉庫へと向かった。