第20章 ❤︎ 年下男子の本気 及川徹
日付が変わる少し前、ほろ酔い気分のまま飲み会は終了した。何杯飲んだかなんて覚えてないけど楽しいお酒の席だった。徹にメールを送ったのは15分前でそろそろ着いてもいい頃なんだけど…って思ってたら見慣れた軽自動車がゆっくりと駐車場へと入ってくる。
「あ、あれじゃない?徹君って」
「そうだね、今着いたみたい」
「いいよねー。年下の彼氏なんて…、羨ましい」
「そう?我儘なところもあるよ?」
「それがいいんじゃん…、ちょっと待って。彼氏ってあれ?…なんか凄く格好いい人降りてきたけど」
「え?」
車から降りてきたのは確かに徹だった。でもスウエット姿でもなくて、ピーコートにニット、そしてちゃんと髪の毛もセットされている。ネカフェで待ってたんじゃんないの?
「お待たせ」
背筋をピンと伸ばして微笑めば雑誌のモデルでもしてそうな雰囲気。周りの友達からも“イケメンだねー”“羨ましい”という声が聞こえてくる。
「着替えてきたの?」
「だらしない格好じゃ迎えに行けないでしょ?」
「スウエットで良かったのに…」
「俺もいちかの友達にはちゃんと挨拶しなきゃと思って」
「なんで?」
「今後のことを考えて…。どうも、いつもお世話になっています。いちかの彼氏の及川徹です。大学卒業後には結婚予定なのでその時には皆さんよろしくお願いします」
そもそも結婚にOKした記憶もないし、まだ私も紹介してないうちから結構な事言ってる…。
しかし、嫌味なくなんて爽やかに言ってしまうんだろうか、この人は…。