第17章 ❤︎ ぼくなつ　木兎光太郎

「赤葦君っていい奴なんだな。……こんな見ず知らずの野郎の話聞いてくれるなんてさ…」
「捨てる神あれば拾う神ありってところですかね」
「何？俺の事拾ってくれんの？」
「黒尾さんが希望するなら俺はいいですよ」
「えー？それどういう意味？」
「全然食えますよって意味です。黒尾さん相手ならどっちでもいいですね」
「は？赤葦君ってホモなの？」
「さぁ？どうでしょうか？……なんなら試してみます？」
「…………おい、嘘だろ？」
「俺は黒尾さんみたいなタイプは嫌いじゃないですよ？」
「待って待って待って。俺、そういう意味では処女だから」
「処女狩り、いいですね……」
「狩らないで。赤葦くんそんな笑顔で言わないで。ほんとに全部持ってかれそうじゃん。やっちゃったら最後、俺、もう後戻りできなくなる」
「いいじゃないですか。楽しいですよ、こっちの世界も」
「目がマジじゃん…。今日泊まる部屋ってまさか同じベッドとかじゃねぇよな？」
「同じベッドでも俺はいいですよ？」
「無理無理無理！さすがに失恋中でもそれは無理」
「そんなに拒否しなくても。…………ま、今言った事は全部冗談ですけどね。食うなら断然女の子がいいです」
「いやいや冗談に聞こえないから。マジだと思うじゃん」
「滅多に言わない冗談ですよ。ま、とりあえず今夜は飲みましょう。飲んで全部忘れましょう。忘れたくなくても忘れましょう」
「なぁ…、なんか俺、赤葦君のおもちゃになってねぇ？」
「それでも1人よりはマシでしょう？」
「…それは、まぁ…、そうね」
「だったら今日は朝まで…」
「俺のケツはあげないけどねー」
「だから冗談ですって」
「冗談に聞こえなかったの」
「失礼しました。…では気を取り直して新しいグラスで乾杯しときますか？」
「……そうだな。いい感じに酔ってきたし仕切り直しすっか？」
「じゃあ次は俺のおすすめの焼酎…、次は牛乳割なんてどうですか？」
「いいねぇ。マジでこれは朝までいけるかも」
「いけるところまでいきましょう」