第17章 ❤︎ ぼくなつ 木兎光太郎
「……手際いいな。赤葦君も東京くればいいバーテンダーにでもなれるんじゃね?」
「一時はそんな事も考えてましたけどね。でもこの島が好きですから」
「そんなにいいもんなのかねぇ、俺には分かんねぇわ」
「そのうちきっと分かりますよ。…………はい、どうぞ」
「さんきゅ…」
「では、乾杯しましょうか?黒尾さんの失恋に……」
「………いや、それはもう言わないで。泣いちゃうから、…俺」
「……失礼しました。では黒尾さんの新しい門出を祝って」
「それそれ、そんな感じで最後くらいは無理矢理ハッピーな感じでね」
「では……」
「「乾杯…」」
カチンと重なるグラス。
こうしておひとり様になった黒尾さんの夜は更けていきました。
終わりがあればきっとまた、新しいスタートが待っている。