第17章 ❤︎ ぼくなつ 木兎光太郎
「大好きだよ」
「俺も……」
合い言葉のように互いの気持ちを確認し合う。見つめ合うのは恥ずかしいけどその一瞬もちゃんと見ていたくて、息を吐きながらゆっくりと腰を下ろしていく。
光太郎さんの表情は快感に歪んでいく。
「…っ、あ。……むちゃくちゃ気持ちいい」
ナカを圧迫されて苦しいのに光太郎さんの甘い声が触れるだけでゾクゾクする。呼吸すら愛おしく感じる。
「可愛い…」
「こっちの台詞だっての。いちかちゃんのその顔、誰にも見せたくない」
「心配しなくても光太郎さんのものだから…」
「約束な?」
「………うん」
体を重ねた経験は何度もあったのに全部が初めてみたいにドキドキして甘い感情が体を包んでいく。塗り替えられていくみたいに光太郎さんで染まっていく…そんな感じ。
下から突き上げられて体は揺さぶられて意識も朦朧するくらいの体をしっかりと支えてくれいたのは光太郎さんの大きな腕。目を閉じる瞬間にさえ、与えられる大きな愛情を感じていた。
2人、蕩け合うような熱くて濃い時間だった。
光太郎さんは比べてもいいよ?なんてこと言ってたけど比べる余裕なんてないくらいに必死だった。何度も襲ってくる快感の波にのまれて、何も考えられなかった。
今もこうやって腕の中で抱かれて心臓の音を聞きながら呼吸を合わせるのが夢のようで、うつらうつら遠のきそうになる意識を保ちながら胸に顔を埋めた。
「可愛いしかねぇな、いちかちゃんは…」
抱きしめられているだけでこんなに安らげるのは、欲しかったぬくもりがここにあったからなのかな…。