第17章 ❤︎ ぼくなつ 木兎光太郎
風呂場からはザーッとシャワーの流れる音が聞こえてきて、さっきよりもずっと落ち着かなくなる。行為そのものは初めてじゃないし今更怖いとかそんな風に感じることもないけど、これ以上光太郎さんでいっぱいになったらきっと頭はパンクしちゃうよね…。
触れたいけど、逆に自分に触れられる事で自分がどうにかなっちゃいそうで怖い。風呂場の扉を見ながらいつもよりも熱を持ったため息をついた。
「いちかちゃん、お待たせ!」
「え?早くない?」
「だから秒で済ませるって言っただろ?」
「せっかくのお風呂なのにもっとゆっくり浸かってきたらいいのに」
「無理。あんなこといちかちゃんに言われたら絶対に無理」
「じゃ言わなきゃよかった」
「言って。そういう可愛い事言えるのは女の子の特権だし、俺は女の子の言葉に翻弄されたい」
「光太郎さんって女の子好きだね…」
「今はいちかちゃんしか見えないけどね。女の子イコールいちかちゃんだから」
本来ならきゅんとしちゃう事を言ってくれてるのに、タオル片手に全裸でしかも隠しもしてないから説得力に欠けてる。
「てゆか光太郎さん、前隠して?…丸見えだから」
「あー、ごめん。でももういいじゃん。どうせ裸になるんだし」
「そうだけど…、さすがに目のやり場に困るよ」
「あー…、確かに女の子みたいに綺麗なもんじゃねぇしな。じゃこれでいい?」
バスタオルを腰に巻いて満面の笑みを浮かべる。筋肉質な体にきゅっとしまったウエスト、よく見ればどこかのモデルさんのように綺麗な体つきをしてる。