第17章 ❤︎ ぼくなつ 木兎光太郎
「だったらそう思ってくれてていい。でも鉄朗のところには帰らない」
「だからさ…お前みたいなお子ちゃまな思考してる奴、俺が見張ってねぇと危なっかしいんだよ。何年一緒にいると思ってんだよ」
「そういうの全部もういらない。私だってもう大人だから」
「一人で飛び出してたかが旅行できたからって一人前なわけ?中身も育ってねぇのに、結局一人じゃなんもできねぇのに、たまたまその辺にいた都合のいい男引っかけたってだけで何様気取ってんの、お前……」
そんなんじゃないのに……、でも結局鉄朗からしてみれば私はそれだけの女なのかもしれない。私が悩んで決めたことも全部否定されたみたいで、これ以上何を言えば良いんだろう。
「はいはい、ストップな?これ以上俺の彼女傷つけないでもらえる?」
光太郎さんの手が私の体を包むように腰に回されて、私を守ってくれるような仕草と優しさに泣きそうになる。
「すっかり彼氏気取りか?そもそも俺はお前を彼氏だなんて認めてもねぇし、そんな気なんてないから。その手放してくれる?ムカつくから…」
「だったらこっちもお前に返す気もねぇから…」
「んだと…?」
「鉄朗君が思ってるほど、いちかちゃんは子どもじゃないよ」
「鉄朗君って軽々しく呼ぶなっての。お前に何が分かんだよ…、昨日今日知り合ったからっていちかの何を知ってんだ?」
「知ってるよ…。いちかちゃんのおっぱいの柔らかさは歴代彼女の中でトップレベルなんだよ」
「え?ちょ、いつ!?」
待って、今すっごくぐっとくるシチュエーションなのに涙が引っ込んじゃうじゃない…ッ!!
「ごめん。この前添い寝したとき……ちょっとした事故で」
効果音があるなら“モミモミ”が正しいのかな。触りましたと言わんばかりに何かを揉むような手つきを見せる。