第17章 ❤︎ ぼくなつ 木兎光太郎
噴き出し花火のあとは手持ち花火が辺りを灯す。煙が立ち込めながらも3人の距離がぐっと近づいて、花火が照らすそれぞれの表情は皆穏やかに笑っている。
「いちかちゃんがこの島に来てくれてよかったわ」
「…え?」
「いつもはこの時期ガキの相手がメインだし島から離れることもできないから、久しぶりに夏を満喫できた」
「そうなの…?」
「やっぱり女の子がいるのといないのとじゃ全然違うわ。なぁ、あかーし」
「そうですね。…なんだかんだ俺も楽しかったです」
「…そう言ってくれると嬉しい。みんなそれぞれの生活があるのに迷惑だったかなってはじめはそう思ってたから」
「んなこと全然ねぇし」
「第一そんなに繊細じゃないです、俺ら」
「うん、知ってる。でもね、途中から本当の友達みたいに接してくれてそれが嬉しかったし、悲しいことも全部忘れることができた気がするの」
「だったら目標は達成だな」
「うん。これですっきりして帰れる。…全部光太郎さんと京治さんのおかげかな」
「んなこと言ったら寂しいじゃん。泣くよ、俺…」
「泣いてくれるの?」
「泣く…」
「この人案外涙脆いから…。気にしないでください」
「え…、あ、……うん」
てか、本当に泣きそうになってるんだけど…。
格好いいに加えて可愛いなんてずるいよ、光太郎さん……。