第3章 ❤︎ 結婚記念日 赤葦京治
何度も体を重ねてきたけど艶やかな表情の京治に胸は高鳴る。肩越しに見えるオレンジの優しい明かりが心を溶かしていくみたいで、素肌を晒していくのも触れられていくのも心地いい。対面に座ったままのキスだけで体は火照らされていく。
「今日はこのままいちかを抱っこしたまま抱きたいんだけど」
「それって私が上?」
「たまにはよくない?そういうのも」
意地悪な笑みがNOとは言わせてくれなかった。胸元に唇を寄せて優しくて快感へ導くような愛撫に甘い息を吐く。いつも以上に時間をかけて体の緊張を解かれて、下半身に触れられた時に愛液が絡み合う。無意識に腰が浮いてしまうのを京治は満足気に見つめる。
「逃げちゃダメだろ?」
「だって、」
「指もすんなり入ってくよ?」
「…っ、…ぁ、」
「久しぶりだから?すごく濡れてる気がするんだけど?」
「だっ、て、私がしたくっても、京治、いないんだもん」
「………そうだな。ごめん。意地悪な事聞いちゃったな」
思わず溢れてしまった本音だった。こうやって一緒にいてくれるだけで“ごめん”なんて言葉要らないのに。
「じゃあさ、これは俺をずっと待っててくれたって解釈でいい?」
「そっちの方がいい」
「そうだよな。俺の我儘で仕事優先させてもらってたんだし、その分、迷惑もかけたよな」
優しい声色に“そんな事ないよ”って言葉も今は必要ない、そんな気もする。
「俺のこと待っててくれて嬉しい」
「うん…」
「俺も、ずっといちかが欲しかった」
ずっと欲しかった言葉が甘い感覚を運んでくる。深くなる口付けに激しくなる指の動きに我慢できないくらいに何度も押し寄せる快感に体の力が抜けていく。京治の支えなしじゃまともに座ってられない。視界が反転したかと思えば柔らかなシーツに沈む体。
「ごめん。久しぶりなんだからもう少し加減すればよかったな」
いつの間にか寝かされていてぼんやりとしながら苦笑する京治の顔を見上げた。
「体、平気?」
「うん」
「…寝たままでいいから続きしよう」
薄く唇を開いてキスを受け入れる。十分に濡れたそこに腰を沈めて強い圧迫感の後に息も止まってしまいそうなゾクゾクとした感覚が駆け巡った。