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(R18) kiss hug ❤︎ HQ裏夢

第3章 ❤︎ 結婚記念日 赤葦京治


「あげる」
「こんなにいいの?」
「うん」
「この鶴、とっても可愛いね」

ニコッと笑う女の子の名前を呼ぶ声が聞こえ、辺りを見ると“すみません”とその子のお母さんらしき女性が慌てて走ってきた。

「あ、お母さん!」
「すみません。少し目を離した好きに」
「いえ。でもこれ、あげるって言ってくれて…。頂いちゃっていいんですか?」
「どうぞどうぞ。もらっていただけると嬉しいです」
「じゃあ遠慮なく…。ありがとう、まゆちゃん。これ、大切にするね」

名前を呼ぶとまたニコッと笑って“またね”と手を振ってくれた。ほんと少しの時間だけどすごく満たされてしまった。

「もらっちゃった」
「うん。めちゃくちゃ可愛いやりとり見てて俺、ニヤけそうだった」
「ニヤける?なんでよ」
「いや、なんとなく?」
「せっかくだし帰ったら飾っとこ」
「そうだな。鶴なんて縁起がいいし」
「うん…」

ショッピングを楽しんだ後は遠回りして帰った。オレンジ色に染まる風景の中を車を走らせる。付き合っていた時みたいに手を繋いだり、信号待ちでキスをしたり…。今じゃ恥ずかしさの勝ってしまって二人笑い合った。

結婚記念日だからってあれこれと考えていたけど特別なものなんて要らなかった。名前を呼んでくれる幸せ、そばにいられる幸せ、好きだと囁いてくれる幸せ、それだけでも私はとても贅沢なんだと思った。
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