第17章 ❤︎ ぼくなつ 木兎光太郎
「…何の用ですか、木兎さん」
クールな返答でちらっとこっちを見た男性は光太郎さんと同じくらいの年齢に見える。でもそれ以上に都会だったら絶対にモテそうな美形。
「お客さんですか?」
「そ。こっちで一週間くらいいるらしいから案内してきた」
「そうですか。コンビニ程度の日用品は揃ってあるので何か足りないものがあればいつでもどうぞ」
「ありがとうございます。近くにお店があると助かります」
「一人旅ですか?」
「そうです。夏休みを利用して」
「なら木兎さんには気をつけてくださいね。嫁募集だとか理由をつけて言い寄ってくるかもしれないので」
「それならそんなニュアンスの事さっき…」
呆れたような顔をして深いため息をつきながら“いいですか?”と光太郎さんを睨む。
「何度も言ってますけど、お客さんに手は出さないでくださいね」
「出さないって。ただチャンスがあればと思って…」
「そんな下心も出さないで」
「出してねぇって」
「とにかく、何か失礼な事があれば俺にでも言ってください」
「あの、二人の関係って友達ですか?」
「友達っていうより幼馴染みみたいなもんだな。一歳年下だから弟か?」
「こんな兄貴はいらないですけど…」
「ったく素直じゃねぇなお前は」
「素直ですよ。素直だから言ってるんです」
「…こいつ可愛いくないけど必要なもんとかあれば取り寄せてくれるから」
「でも一週間の滞在でしょう?だったら届く前に帰ってますよ」
「ああ、それもそうだな…。ま、そういうことだから」
「ほんと適当ですね」
「じゃあまた何かあれば寄りますので、よろしくお願いします」
「朝は6時から夜は9時までな」
「了解です」