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(R18) kiss hug ❤︎ HQ裏夢

第3章 ❤︎ 結婚記念日 赤葦京治


それから一カ月が経った。相変わらず忙しそうな京治と何も変わらない退屈な私の日常。私たち夫婦は今日、結婚一年の記念日を迎えた。

もちろん記念日だから何かしようかとは話していたけど休みが取れるわけでもなく、何か特別な予定があるわけでもない。今日だって京治は遅くなるだろうけどせめていつもより豪華な食事にしてシャンパンでもあけてお祝いしよう…、寂しさで痛む胸に手を触れて一つ息を吐いた。

時間はお昼を過ぎたところ。買い物に行く準備をしていると突然インターフォンが鳴り、ドアを開けると京治の姿があった。

「京治?こんな時間どうしたの?なんか忘れもの?」
「半休取れた」
「え?」
「今から出かけられる?」
「なんで?仕事は?だって忙しいって」
「今日は結婚記念日だろ?せめて半日でも休みが取れるようにって内緒で頑張ってた」
「…嘘」

それは私にとっては思ってもみないサプライズだった。

「今までまともに相手できなくてごめん。丁度仕事もひと段落したからこれからは少し余裕はできるから」
「ほんと?」
「うん。連休も取ろうと思えば取れるから。ほんと、今までごめん」
「そんな、全然だよ…。だっていつも一生懸命仕事してるのも知ってたし、だから私の我儘なんだって思ってて」
「だったら今日は沢山いちかの我儘聞きたい。全部叶えてあげたい」

柔らかく微笑む京治の体に吸い込まれるように抱きしめられた。触れたその言葉に心が溶かされて胸がいっぱいになって涙が込み上がってくる。

「いちかが寂しがりやなの知ってて寂しい思いさせたよな?旦那失格だよな、ほんと」
「そんなことない。そんなこと言わないで」
「この前、木兎さんに言われた。お前の前では笑ってても寂しい思いしてるよって…。俺も気付いてたのにな。全然フォローできなかった」
「いい。ちゃんとこうやって私の為に帰ってきてくれたもん。それだけで愛されてるって思えるもん」
「うん…。でも寂しい思いをさせた分はこれからちゃんと補ってくつもりだから」

すんっと鼻を啜ったのに気付いた京治は指で涙を優しく拭ってくれる。
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