第16章 ❤︎ ツインズに満員電車で意地悪される? 宮侑・宮治
「いちかちゃんっ」
「お疲れ様。どしたん、二人して?」
「この前北さんに頼まれてた買い物あるやろ?先に下見しとこと思て俺とツムも行くけど一緒に来てくれへんかなと思て」
「後でええもんあげるから付き合ってくれる?」
「えーよ。私も行こう思てから。…今から?」
「早い方がええやろ?」
「せやね。ほな着替えてくるから待ってて?」
「ええよ。ゆっくりでええから」
二人の企みなんて何も知らないマネージャー。皆に振り撒くような弾ける笑顔で「また後で」と白い歯を見せ笑った。
「なぁ、サム。いちかちゃんってほんまええ子やな」
「今から犯せるとか楽しみやわ」
「おー、怖。案外お前の方が欲深いかもな」
「ま、否定はせんとくわ」
下見も終わって夕暮れ前、蒸し暑さもピークで駅の構内は通勤客がどっと押し寄せる時間帯。制服姿の3人はその人混みを避けるように改札口へと向かう。
「はい。これやるわ。今日付き合ってくれたお礼な…?ただの飴ちゃんやけど」
「ありがと。見たことない飴や。これなんの味なん?」
「赤いから苺かなんかろ?」
「へぇ、……いい香り。じゃいただきます」
ケミカルな香りのする飴を嬉しそうに口へ頬張る。明らかに怪しくても見た目の可愛さに疑う素振りもない。口の中でコロコロと飴を転がしながら普段と変わらない会話を弾ませた。
「あれ?なんか変だな。体が熱いかも…」
思ったよりも早い反応だった。体は汗ばみ始めて赤いキャンディのように頬は紅潮している。ホームのアナウンスが次の電車の到着を告げた。