第13章 ❤︎ 岩泉先生の彼女と及川先生
いちかの笑顔に緊張感が解れて湯の温度も体に馴染んでくる。こんな自然と青空が映える景色、今こうやって改めて考えれば贅沢の極みだ。
「先生も最近忙しかったんでしょ?疲れてる?」
「まぁなぁ。ここんとこ忙しかったからな」
「じゃあ、私が癒してあげようか?」
上目遣いで見上げるいちかはそう呟くと湯船の中で腰掛ける俺に対面するように跨った。太ももに感じる柔らかな肌と目の前には何も身につけていない素肌が太陽の光を受けてキラキラと反射している。
「おい…。ここ個室つっても一応公共の場だぞ?」
「でも恋人同士ならキスくらいしてるよ」
薄い桃色の唇がゆっくりと近づいて触れ合う。一度触れてしまえばもう止まることは出来ない。堪らずに抱き締めていちかからのキスに応えるように舌を絡めた。キスの途中、呼吸をすることさえもどかしく感じるようなそんな口付け。ようやく唇を離した後は、名残惜しそうに銀色の糸が二人を繋いでいた。
「……こんな、キスしたらしたくなるよ」
「それは我慢してくれ」
「…先生はしたくないの?」
「してぇわ、バカ」
「ゴム、ある?」
「……いや、ねぇ」
「今はね、…ちょっと危ない日かも。……だから外に、出してくれたらいいよ?」
自分だって痛いくらいに勃起している。このまま腰を上に突き上げればそのまま入ってしまいそうな距離と誘惑、そしていちかの言葉にぐらつく理性。だけどそれは、それだけは今はまだ許されない。