第13章 ❤︎ 岩泉先生の彼女と及川先生
及川には触れさせない…、そう互いに確認するように見つめ合う。エレベータのボタンを押せば混浴のある屋上の階へ続く。今このボタンを押さない方が後悔してしまいそうで、俺は迷わずボタンを押した。誰もいないエレベータ内で少し頬が赤くなったいちかを自分の方へと抱き寄せ一気に屋上まで駆け上がった。
高級感溢れるフロアを抜けて再度受付を済ませるとそこからは完全に二人の世界だった。いつかのラブホテルで過ごした時のような教師と生徒でもなくただの恋人同士の二人で距離が近くなればなるほど気持ちは高まっていく。
「よかった。念のために可愛い下着つけてきて」
「どれ?」
「やだ。秘密」
「俺のために着けてきたんだろ?」
「そうだけど」
「見せなさい」
「こんな時だけ先生ぶるのなしだから」
「いいから」
いちかの両手を掴んで上に持ち上げると淡いピンク色の下着が露になる。迷わずに谷間に顔を寄せて柔らかな部分に唇をつけて吸い上げると“…っん”と甘い声を上げる。欲しかったものが自分の手の中に在る感覚がよりリアルになる。
「こうやってお前に触れられんの、もっと先のことかと思ってた」
「…私も。…及川先生に感謝だね」
「俺は感謝しねぇけどな、絶対」
「ね、…入ろ?時間制限あるんでしょ?」
「そうだな」
露天風呂へと続く扉を開けば真っ青な空が広がっていた。それだけでも思わず気分は高まりいちかも“うわぁ”と声を弾ませる。3、4人は裕に入浴できそうな檜風呂には湯気が立ち込めて無色透明なお湯が惜しみなく注がれている。