第13章 ❤︎ 岩泉先生の彼女と及川先生
≫岩泉side
耳元にふっと息がかかると、いつもよりも艶っぽい声が耳に触れた。
「するんでしょ?」
「何?誘ってんの?」
「うん。…だってこの前ホテルでしたのが最後だもん」
「…そうだったな。忙しくてなかなか会えなかったし」
「仕方ないよ、先生だもん」
しおらしくなって、ワガママな癖にこういう時はあんまり無理は言わない。本人には言わねぇけどよくできた彼女だと思ってる。
「悪かったな。我慢させて」
「んーん、学校で先生の姿見れるし、グラウンドで体育してたら先生見えるでしょ?だから教室から見てた」
「授業聞けよ」
「楽しくないもん」
「留年するぞ?」
「でもテスト前にはちゃんと勉強してるよ?赤点にならなきゃいいんでしょ?」
「お前、ちゃんと勉強すればそれなりの成績になるのに勿体ねぇな」
「勉強が嫌いなので。…それより、ね、先生?」
「何だよ」
「キス」
急に艶っぽく見えてくるから不思議だ。柔らかい唇も肩にかかる髪の毛も触れるだけでたまらなくなく。後頭部を押さえながら唇を食むようにキスをして、うすく開いた目でぎゅっと目を閉じた彼女の表情を見ていた。
「がっついてくる先生、…好き」
「そうか?」
「でもね、すっごいピザの味だね。むしろチーズの味?」
「…言えてる。けどお前からキスしろって言ってきたんだろ?」
「だってしたくなっちゃったんだもん。先生だってそういう時あるでしょ?」
「………………ねぇし」
「嘘ばっかり。その沈黙が妖しい。だって先生割とおっぱい星人じゃん」
「悪いかよ」
「悪くないよ。そういう先生が好きなんだもん。言っとくけど私以外に触れたら怒るからね」
「んな相手もいねぇしそんな予定もないから心配すんな」
「約束だからね」
「へいへい。…んでどうすんの、先に風呂入るか?」
「一緒に?」
「それは無理。うちの風呂小せぇから」
「それでもいいよ。折角一緒にいるんだもん、時間が勿体無い」