第11章 ❤︎ 年下男子の好機 佐久早聖臣
こんなことほんとはいけない事なのかもしれない。だけどもう後戻りはできない。これから起こることに特別な感情も理由もないけど体は素直に聖臣に委ねた。
車内に響くリップ音。お互いを求めあうように舌が絡まり合い、後頭部に添えられた手が少しの呼吸も許してくれなくて優しい聖臣からは想像できない大人のキスに体が火照らされていく。
深い口付けの中シャツの裾をたくし上げるとそっと下着のホックが外される。露になった胸を包み込むように手を添え親指で突起を確かめるように触れていく。その甘い刺激が堪らず逃げ場のない体は小刻みに揺れる。
「あんまり動くと周りにバレない」
「だって…」
「俺からはいい眺めだけど」
下着までたくし上げられていて私の胸は下から見上げる聖臣から丸見えだなんだろう。
「聖臣が脱がせたのに」
「見たかったから…」
「いつの間にこんな男の子になっちゃたの」
「二十歳超えた男に言う台詞じゃないと思うけど」
「私には可愛い聖臣の面影がまだ残ってるから」
「だったらアップデートしといて」
「うん…。アップデートが間に合わないくらいだけどね」
「でもいちかが本気で嫌だったら今すぐに止めるから」
大人びても優しいところは変わってないなんて狡い。拒否なんて私にはできない。
「嫌じゃないから今困ってるんだよ」
それが正直な答え。
「いちか、……可愛い」
“反則だ…”と珍しく聖臣の方が目線を逸らした。
「俺も結構我慢してる。ここじゃちゃんとしてあげられないけど…、いい?」
「………うん。聖臣なら…」
“いいよ”の三文字がキスで埋もれ、私は覚悟を決めた。