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(R18) kiss hug ❤︎ HQ裏夢

第11章 ❤︎ 年下男子の好機 佐久早聖臣


そして迎えた約束の時間。家の前には一台の車が停まる。助手席に座るとさっきとは雰囲気の違う聖臣がいて運転する姿が別人みたいに大人びて見えた。

「いい車だね」
「高級車らしい」
「そうなの?なんか私まで緊張したきた」
「なんで?」
「向こうだと車なんてほとんど乗らないから。…それでどこ行くの?」
「とりあえず海の方まで」
「いいね、春の海じゃっb」
「車で30分くらいだから」

慣れた手つきでギアを変えゆっくりと前進し始める。久々の街の夜の光景。夜になって艶っぽさの増す年下の幼馴染との穏やかな会話。昨日まで味気なく感じていたコンビニのいつもカフェラテも心を癒してくれる。

「ここで一旦停めるから」
「うん」

暗がりでよく見えなかったけどライトが照らす先は海。看板には【海の見える公園】そう書かれていた。

「お疲れ様。運転が上手くってさすが聖臣と言うべきかな」
「時間があれば一人で運転してるから」
「へぇ、そうなんだ。こんなところに公園があったのも知らなかった」
「偶然この場所を見つけただけ。晴れてるから車の中からでも夜空が見える」
「ほんと?」
「シート倒していいから。そっちの方がよく見えるし」
「うん」

言われるままにシートを倒し星空を見上げた。少し開けた窓からは波の音が聞こえて、暗くなった空にはいくつか星が輝いていて静かな時間だけが流れていく。

「…こうやってゆっくり夜空を見上げるなんていつぶりだろう」
「俺も久々」
「大変だね、試合であっちこっち行ってさ」
「そうでもない。充実してるし俺にはまだ追い求めるものがあるから」
「格好いい…。真っ直ぐそう言えるのって」
「それしか見えないだけ」
「そっか…」

嫌味のないただ真っ直ぐな言葉。誰にも邪魔できないような信念がある。年下なのになんでこんな格好いいんだろう。私も聖臣みたいになりたいな。

「なんか、いいね。こんな風に過ごすのって」
「一つ聞いていい?」
「何?」
「……帰ってきたの仕事のことじゃないんだろ?」
「なんで?」
「疲れた顔、というよりは辛そうな顔してたから」
「…バレてた?最近、5年付き合った彼にまでフラれちゃったの」
「それでこっちに帰ってきたんだ」
「…うん、正解」
「帰ってきてもなんにもならないことは分かってるけど…。みんなの顔見て安心したかったのかもね。なんか恋しくなっちゃった…」
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