第9章 ❤︎ 真夜中のプロポーズ 澤村大地
「にやけてるし…。いい反応するな」
うまく顔を逸らしたつもりなのに見られちゃってた…。目を合わせると大地君はどこか嬉しそうに口角をあげてる。
「だってほんとに言ってくれるなんて思わなかったから」
「じゃあ…、つけないでしちゃう?」
「こんな時に冗談言うなよ…?」
「真面目な大地君はそんなことしないもんね」
「それでも一瞬でもぐらつきそうになるから…、余裕ない時に煽るの禁止な?」
「そういうことしたいんだ」
「無理だろ、現実的に」
「でも願望はある?」
「…………………………ない」
「あるんだ」
「お前ね……。そんな煽りたないなら応えようか?」
「え?」
「避妊はするけど」
手をベッドサイドの引き出しに伸ばした。三番目の奥が隠し場所で馴染みの四角い袋が目に入って、むくっと起き上がり慣れた手つきで装着する横顔を見つめる。この瞬間はいつでもドキドキする。
「言っとくけど、むちゃくちゃに抱きたい気分だから」
艶っぽい低音に熱い視線が重なる。しんと静まり返った部屋にベッドが軋む音が響いて両腕は大地君の大きな体を受け入れる。私の名前を呼びながらキスから始まり、緊張が解れてきたところで中心に熱が触れる。
「……んっ」
冷たい感触が突き抜けていき体が自然と仰け反った。息をするのも忘れちゃいそうできゅっと目を閉じる。
「……大丈夫?」
だけど次の瞬間に目を開くと心配そうに見つめる大地君の表情。もうすっかり慣れっこなのに…。でもすごく嬉しい瞬間。
「いつも、真剣な表情だよね」
「そう?」
「うん、……見つめられるの恥ずかしいけど、」
「どうしたら全部俺のものになるんだろって考えてる」
「現在進行形で大地君のものなんですけど?」
「そうだけど…、なんか、俺らしくないな…」
普段見せない独占欲に甘く切ない感情がこみ上げてる。繋がってても満たされてもぎゅっと抱き締めても足りない。
「全部、大地君にあげる」