第72章 結婚するまで帰れません(1) 岩泉一
≫信介side
観光地を巡って最終的に辿り着いたのは仙台城跡近くの土産屋。隣接された飲食スペースは宮城の名物がずらりと並んでいる。つい美味そうな匂いに釣られて各々好きなメニューを注文し次々と運ばれてくる。
けど俺と目の前の双子は暑さにやられたんか氷水を飲み干してもまだうなだれている。
治「あっつぅ…」
「そやねぇ、暑かったね。やっぱり水族館にしとった方が良かったんやない?夏に城の跡地散策するんは…ねぇ?」
北「俺は笹かま食べれたそれで良かったけど、伊達政宗見たい言うたんこいつらやしな?」
治「言いましたけどこんな暑いと思ってなくて。下手したら関西より暑いんちゃいます?ガイドの音声途中から記憶ない」
侑「俺ももう疲れてしもた。今クーラーに当たって回復してるけどきっつ…」
「体力ないなぁ、二人は」
侑「ちゃいます、直射日光にだけ弱いんですって」
「普段室内やから?」
侑「そうですそうです」
北「それは言い訳やな。体力ないんやったら強化せなあかんなぁ」
侑「いやそれは遠慮しときますって」
「まぁええやん、とりあえず食べよう。私もお腹すいたし」
侑「そうしましょー!俺、笹かま食べよ」
北「それ俺のや」
侑「ええやないですかぁちょっとくらい」
3本しかない貴重な笹かまをひょいとつまみ口へと放り込む。こいつは…と呆れるけど侑が牛タンソーセージ注文してるのも知ってるし横取りしたるからまぁええけど。
「ねぇ、ツム君、笹かま美味しい?私も注文しようかな」
北「ほな、俺の一本やるから」
「ええの?」
北「ずんだ餅にずんだソフトに甘いもんばっか食い過ぎやろ?汗かいてんやから塩分も取っとき」
「うん。あ、でも今両手塞がってる」