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(R18) kiss hug ❤︎ HQ裏夢

第72章 結婚するまで帰れません(1) 岩泉一


花巻が言った通りに10分後には“お先に失礼します”と声が聞こえて私服姿のいちかが入り口の扉を開けて出てきた。斜め前にいる俺には気づかない様子でスマホを確認すると早歩きで歩き始めた。

「お疲れ…」

声に反応するように視線を俺に向けると途端に目が開いて驚き慄く…その表現がぴったりだった。表情の変わりように思わず吹き出してしまった。

「うえ…っ!?一君!?」
「お前、何つー声出してんだよ」
「え?何で?ここで待ってるん?」
「………世話好きな奴から聞いた」
「え?……ああ、なるほど。もしかしてそれって二人組?」
「そう。あの二人組に騙された」
「全然知らなかった。一君に言うなら一言くらい私に言ってくれてもいいのに…。あーあ、やられちゃった」
「つーことはお前も被害者なんだな」
「そうだね。私もその世話好きさん達、私がシフト入ってる時、毎回食べに来てたんだから言ってくれたらいいのに」
「毎回?」
「そうなの。松川君のおじさんのお店だからだろうけど、お客さんがいない時間帯は三人で作戦会議してたのに」
「作戦会議?」
「どうやったら一君を落とせるかって会議」
「はぁ?お前らまとめて面倒臭ぇ」
「だって協力も応援もしてくれるって言うんだもん」
「俺もさっき言われたわ。ったく人をおもちゃにしやがって……。そんで?お前、いつからバイトしてたんだよ」
「えーと、三週間くらい前かな?土日だけだけど」
「なんで急にバイトなんだよ。そんな生活困ってんのか?」
「いや、そういうわけじゃ…ないんだけど…」
「何だよ、ちゃんと言えよ」
「じゃあもうねたばらし。一君、ちょっと寄り道しませんか?」
「答えになってねぇ」
「行けば分かる。答えはそこにあるから」

何格好つけて言ってんだよ…、そう呆れながらも内心はほっとしていた。ここ数週間の抱えてた疑問も晴れた。朝から夕方までバイトしてりゃそりゃ疲れるのも無理はない。

「分かった。ついてけばいいんだな?」
「うん。駅前だからすぐだから」

昨日も確か駅前で買い物してたとか言ってたような…。そんな欲しかったものでもあったのか?あれこれ思考を巡らせるも何一つ思いつかなかった。
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