第72章 結婚するまで帰れません(１)　岩泉一

「可愛い…」
「は？」
「あ、ごめん。心の声、出ちゃってた」
「こんな状況でそんなこと言うん松川君くらいやで、アホちゃう？」

関西の洗礼とでも言うんだろうか、斜め上をいく返しに俺は吹き出してしまった。確かにいきなり“可愛い”なんて言った俺が悪いけど、さっきの一言は男にはピンポイントでクリティカルヒットする。

「いちかちゃん、口悪いね…。その返し最高」
「意味分からんのやけど」
「ごめんごめん。とりあえず少し休んだら打ち上げ行こうよ。岩も待ってると思うしこれも岩と近づけるチャンスだと思って」
「それなんやけど私が一君のこと好きなん、今は内緒にしといて？」
「うん、それは分かってる。内緒にしとく」

星賀ちゃんにバレちゃったし時間の問題だとは思うけど一応ね。

いちかちゃんの意外な一面も見れたしこの先二人がどうなっていくかっての気になるし楽しみも増えた。でもさ、俺はいちかちゃんみたいな子が岩には合うんじゃないかなって思うんだ。