• テキストサイズ

(R18) kiss hug ❤︎ HQ裏夢

第72章 結婚するまで帰れません(1) 岩泉一


床はひんやりと冷たくて全身の疲れが抜けていく感じがした。見慣れた天井のライトもこんなに眩しかったんだって初めて気付いた。

「合宿お疲れ…。………ありがとうな?」
「一君もお疲れ様でした。そう言ってもらえて私も嬉しいです」
「実際すげぇ助かったわ」
「私はずっと一君の姿を追って見てました。……格好良くてもっと好きになっちゃった」
「そんな暇あったのかよ」
「恋愛中の女の子はいつでも好きな人を追えるように第三の目が開くんです」
「何だよそれ、聞いたことねぇぞ」
「今、思いつきました」
「昼間は悪かったな。俺の態度悪くてよ」
「え?そうですか?」
「ああ…。なんか今日は上手くいかなくてイライラしてた。ここんとこ調子が良かっただけに余計な」
「そんな日もあります。そんな日も乗り越えた先に勝利が待ってるんですよ、絶対」
「…そうだな」
「私はそう信じてます」

俺だってそう思って今まで走り続けてきた。仲間はいたけど互いにライバルで揺らぎそうになる想いを初めて誰かに支えてもらったような気がして体から力が抜けていく。それが心地いいとさえ今は感じる。

「なぁ…」
「はい」
「昨日、誰と電話してたんだ?」
「幼馴染です。幼馴染といっても一緒に育ってきたようなものだから兄妹みたいな関係ですけど」
「幼馴染ねぇ……、お前、もしかして前にいた高校って稲荷崎か?」
「はい。そうです。稲荷崎高校男子バレー部の元マネージャーです」
「マジかよ…。稲荷崎って言えば全国レベルの強豪校だよな?」
「はい。うちは強いですよ」
「そりゃあんなとこのマネージャーやってたならお前も動けるわけだわ」
「ね?だからあの先輩達とは格が違うんですよ、私」
「ぐうの音も出ねぇわ。……つか稲荷崎にいたんならそう言えよ」
「気付いて欲しかったんです。私のこと少しは興味持って欲しかったから。マネージャーにならないかってキャプテンにも誘われたんですけど、でもバレーに対してだけは気持ちはまだ向こうに残ってるし私も色々と複雑だったんです」
「そりゃそうだよな…。事情も知らなくて悪かった」
「言えなかった私が悪いんです。まさか一君もバレーしてたなんて知らなかったから。でも私、一君の彼女になれたら…、一君専属のマネージャーに喜んでなりますよ?」
/ 1333ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp