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(R18) kiss hug ❤︎ HQ裏夢

第72章 結婚するまで帰れません(1) 岩泉一


「何で体育館にいるんだよ」

息切らしながら辿り着いた場所は消した筈の電灯が灯った体育館だった。しんと静まる体育館の中心で寝転がっていたのは柳瀬の姿だった。俺の声にすぐに反応して体を起こす。

「あれ…?一君、何で…。打ち上げは?
「抜けてきたんだよ。お前、何してんだよこんなことで」
「皆が打ち上げにいった後、片付けが終わってないのに気付いて管理人さんに事情を話したら鍵を貸してくれたので」
「片付けってなんのだよ?」
「ビブスです。先輩達うっかり忘れてたんでしょうね。私が帰ろうとする前にわざわざ置いてくれて、シンデレラ気分で片付けました。次会ったら目潰しでもしてやろうかと思うくらい」
「お前、何で言わねぇんだよ」
「だって私は打ち上げにも行かないし予定もなかったから…」
「こっちは家に行ってもいないし、公園とかそこら中すげー探したんだぞ?電話だって繋がらないし」
「あ、スマホ、鞄の中だ…。ごめんなさい」
「何やってんだよ…」
「まさか戻ってきてくれるなんて思ってなくて」
「片付け終わったんなら帰るぞ…、ってまた寝転がるのかよ」
「もう少しここにいたいです」
「疲れてんじゃねぇのかよ」
「ヘトヘトです。HPゼロになりました」
「だったら…」
「こうやって広い空間を眺めてるのが好きなんです。見覚えない体育館なのに懐かしい感じがして、もう少しこのままでいたいなって…」
「お前が帰らねぇなら俺も帰らねぇ」
「え?」
「言わなきゃいけないこともあるし…。俺も隣、いいか?」
「はい、もちろんです」

柳瀬は疲れた顔してたけど嬉しそうに笑った。
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