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(R18) kiss hug ❤︎ HQ裏夢

第72章 結婚するまで帰れません(1) 岩泉一


テーブルを見れは俺のいつも通りのドカベンと隣には小さなピンクの弁当箱。いつ用意したんだよ、つーか他人なのになんで自分の娘みたいに溺愛してんだよ…ってもはや呆れてる。

用意された朝食を適当に取ってソファーに移動するも、よくもまぁそんなに会話が続くわと思うくらいの楽しそうな二人の会話がどうしても耳につく。しばらくこうなのかと思うとそれだけでうんざりだけど朝練が始まるまでの辛抱だ。生活リズムさえ違えば顔を合わすことも少なくなるだろうってその時はそう期待していた。

「ごちそうさまでした。今夜は片付けもあるし買い置きのカップ麺も食べなきゃいけないのでお夕飯は大丈夫です」
「あらだめよ。カップ麺は非常食にでも置いておいて?忙しいのなら一に夕飯届けさせるから」
「なんで俺が」
「毎月のお小遣い欲しいなら少しは家のお手伝いもしなきゃね、一」
「それは卑怯じゃねぇか?」
「当然の労働でしょ?」

母親の笑顔の圧…。小遣いを人質に取られてしまうともはや従うしかなくて結局は二人のペースに押し切られる。

「分かったよ」
「すみません」
「別に…」
「一の“別に”って言葉には“喜んで”って意味もあるからね」
「んなわけあるか!」
「あ、そう言えばもうゴミ出しの時間だわ。今日は当番だから行かなくちゃ。じゃあ二人とも気をつけてね」
「はい。ありがとうございました」

“いってらっしゃい”と手を振る母親に笑顔で応えている。二人残された玄関で俺はなんとなく気不味さを感じる。こいうときに気を遣うってのがそもそも苦手だった。だから

「昨日はすごく楽しかったです。お夕飯も一緒に食べれて」
「いや、同じ空間に居ただけだし」
「それでも嬉しかったです。声をかけてくれたのが」
「そうかよ…。でも勘違いすんじゃねぇぞ?お前に対しては同情みたいなもんだから。俺には何も期待するな」
「私が一方的に好きなだけ、ですから」
「もっと他にいい奴がいるよ。俺じゃなくても…」
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