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(R18) kiss hug ❤︎ HQ裏夢

第72章 結婚するまで帰れません(1) 岩泉一


結局不貞寝したまま風呂にも入らず目が覚めた時は朝だった。眩しい陽の光が部屋の中に差し込んでしんと静まった家の様子はいつもとは変わらない。朝からため息なんてつきたくないけど一人ホッとしながら俺は風呂場へと向かった。

いつもならバレーのことしか考えなくていいのに。新学期の朝からこんな無駄に疲れてるなんてな…。この先、ちゃんとやってけんのか、俺。

風呂から出るとまたリビングからは賑やかな声。朝からマジかよ…とリビングへの扉を開けると案の定、あいつの姿。昨日の母親のテンションから考えるとこうなることは回避できないのかもしれない。

「おはようございます」
「…なんでいんだよ」
「私が呼んだの。朝ご飯食べて行きなさいって。朝からカップ麺なんて可哀想でしょ」
「…そうかよ」
「あんただって心配でしょ?私に似て放っておけない性格なんだから…。ほらいちかちゃんの隣座って」

思い当たる節ばかりでああそうだよ!って返したかったけど余計なことをしたのは俺。ある意味この事態を招いたのも俺。

「…飯はソファーんとこで食う」
「またそんなこと言って。ほんとに素直じゃないわね」
「素直だろ?わざわざ一緒に食う必要はねぇし…」
「ごめんなさい。私が」
「いいのよ。声掛けたのはお母さんなんだし。これから朝はうちに寄ってから学校へ行きなさい。それにお弁当がいるでしょ?」
「そこまで面倒見んのか?」
「だって一の可愛くないお弁当ばっかり作りたくないんだもん、お母さん」
「そりゃ悪かなったな」
「お弁当なんて嬉しい。うちは母からお弁当を作ってもらったのは小学生の遠足までだったので。おかずはお惣菜だったし」
「そうだったの」
「それはそれで美味しかったんですけどね。お母さんのお弁当、美味しくいただきます」
「ああもう!いちかちゃんにお母さんって呼ばれるのたまらない」
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