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(R18) kiss hug ❤︎ HQ裏夢

第72章 結婚するまで帰れません(1) 岩泉一


「んじゃ俺から断るから。できるだけ向こうにも納得してもらえるように。相手がこの結婚…、というかこの許嫁とかいう関係諦めたら母さんも納得するだろ?」
「そりゃいちかちゃんが一を選ばかったら仕方ないわ」
「だったら俺は納得してもらえるように話すから」
「母さん、そうはさせないから」
「つっても当人の気持ちの問題だから。そんときは諦めろよ?」

これ以上母さんと話しても平行線のままで話にならない。そう思って捨て台詞を吐いたまま俺は部屋へと戻った。

そういえば帰る途中、家から少し離れたところにある築年数相当のボロアパートの前に段ボールが山積みされていたのを見たようなそんな気もする。

いや流石に年頃の女があんなところに住むわけはねぇよな…とは思ったけど、あの光景が消えなくて思わず足が向いたのは本心ではなくほんの興味本位からだった。

家から少し離れた場所にあるアパートは何年か前にリフォームしたとは聞いていたけど住む人がいなかったのか草は生え放題、ぼろぼろの外観。誰がこんなとこ住むんだよと思いながら通っていたことを思うと四部屋ある中で一回の東側の玄関のドアの前に段ボールが山積みになって入りきらかったであろう段ボールは雑に通路に置かれたまま。

「…まさかな」

コンクリートの廊下を抜けると心地いい風が吹き抜けていく。風通しだけはいいその場所に段ボールの荷物を引き摺るあいつの姿があった。だけど朝見たカラフルな服装ではなく黒のジャージ姿に眼鏡で一瞬誰だか分からなかった。俺に気付いたあいつは驚いた顔をしている。

「あ、れ?一さん…」
「ここ、お前ん家?」
「そうですけど…」
「マジかよ、女がこんなとこ住めるのかよ」
「確かに見た目はよくないですよね。でも中は綺麗ですから全然住めますよ。それに家賃は安いし中は何より一さんの家にも近いから…。でも、どうして?」
「段ボールが山積みになってたから誰がこんなとこ住むんだ?って興味本位で覗いたらお前がいただけ」
「そうですか…。ここの102号室の住人は私です」

さすがの俺もここで大丈夫なのかよ、と気になるレベル。いくら家賃が安いっつっても16の女が選ぶなんてどうかしてる。
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