第70章 ❤︎ 射精管理 二口堅治
「持ってけって」
「すごい。綺麗なりんご。いいの?」
「苺のお礼らしい」
「そっか、あの苺は堅治君家にも渡ったか」
「美味かったっつっといて」
「うん、言っとくね。でもこのりんご、美味しいそう」
紙袋から一個取り出して嬉しそうに見つめる。俺ならたかがりんごくらいでこんな嬉しくならないけど、昔からやたらと嬉しそうにする奴だった。
「コンポートにしようかな?」
「コンポートって何?」
「煮りんごって言うのかな?砂糖水で煮るの」
「りんごなんて生でかじるのが一番美味いし」
「じゃあこのりんごで作るから今度持ってこうか?」
「いーよ別に」
「私、調理部なんだよね。だから是非食べて感想が欲しい」
「俺そういうの苦手」
「美味いか不味いかだけでいいから。周りは美味しいしか言わないから堅治君の辛口の評価してほしい」
「めんどくせーけど食いもんなら貰っとく。りんごに罪はないし」
「ほんと?じゃあ今週末には作って持ってくね」
「その辺は適当にいちかに任せるわ」
「ありがと。じゃあせっかくだしちょっとお茶淹れてくるから待ってて」
「そんなのいいから」
「久しぶりなんだからもう少し話しようよ。聞いて欲しい話もあるし」
普段男子校でヤローばっかの汚い顔ばっか見てるせいか、女子の無垢な笑顔に反論はできなかった。にこにこと嬉しそうに笑って席を立つ。制服のスカートがひらりと舞った。その瞬間だけ特別に感じて得体の知れない感情が沸く。これは単純に女子に飢えている工業男子の一過性のものでなんの期待も意味もない、その時はそう思っていた。