第69章 ❤︎ 黒尾鉄朗と岩泉一、どちらを選びますか?
二人は顔を見合わせて笑う。てっきり二人が付き合ってるもんだとばっか思ってたし似合いの二人だとも思ってた。けどそれはどうやら俺の見当違いだったらしい。
「これが二年前なら付き合ってるって言ってたけどな」
「そうですねー。今はやっと敬語にも慣れてきて上司と部下って関係に戻りましたけどね」
「は?」
「柳瀬は俺の元カノ…デス」
「てっきり付き合ってんのかと思ってた」
「もしかして付き合ってないって知ってちょっと安心してます?」
「なんだよ、いきなり」
「俺、ちょっと思ってたんですけど、岩泉さんってこいつに興味あったりします?」
「……ああ、まぁな」
「へぇ…」
「なんだよ」
「なんか意外…。こういうの濁しそうだから」
「俺はてっきり二人が付き合ってるもんだと思ってたから」
「てことは今チャンスとか思ってます?」
「こういう展開慣れてねぇから上手く言えねぇけど、まぁ俺的には好機到来だよな」
「え、嘘!?ほんとですか!?岩泉さんにそう思われてるとかすごく嬉しいです。ね、先輩。これって返事していいんですか?」
「なんで元彼の俺に聞くんだよ」
「なんてゆーかほら上司の許可的な?」
「んだよそれ。つかお前、岩泉さんみたいな人タイプだったっけか?」
「んー…、私は黒尾先輩と岩泉さんを足して2で割ったような人がいいですかね」
「欲張りだな。そんなこと言ってると岩泉さんに嫌われるぞ」
「別に嫌いにはなんねぇけど…。元カノって関係だからなんつったらいいか分かんねぇけど俺がもらってもいいのか?」
「もらっていいか?って聞かれたら答えはNOだよな」
「どうして?」
「まぁ例え元カノといえども目の前で奪われんのはいい気はしねぇもん」
「えー?そんなの今更じゃないですか。もう二年も前ですよ?」
「お前と別れてたこの二年さ、何回もより戻そうって思った。けど俺の手の届く範囲で自由にさせてんのも悪くなかったんだよ」
「じゃあいいじゃないですか。私が誰と付き合っても」
「んー、それはダメ。俺、まだ好きだもんいちかのこと」
「今更じゃないですか、それ」
「今だからだろ?離れてみて分かることもあんだろ?今だからそう言えんじゃん」