第69章 ❤︎ 黒尾鉄朗と岩泉一、どちらを選びますか?
≫一side
俺と黒尾さんとその後輩である柳瀬とは半年の付き合いだった。ATとしていろんな選手と関わるうちに話す機会も増えて今じゃ3人で飲みに行くような関係になっていた。
この日だってそうだった。黒尾さんたちが注目している選手のトレーニング状況の説明をしていた。トレーニングメニューから怪我の回復状況、復帰時期、有望の選手故伝えることも多岐に渡った。長時間になっても一生懸命黒尾さんの後ろを子犬みたいについて回って、俺の話も熱心に聞いてたし質問攻めにあったりもした。二人きりになることも多かったし妹みたいな存在だと思ってたのにいつの間にか妹以上の存在だと捉えていることに気付いてしまった。
だけど、黒尾さんと柳瀬は付き合ってる。
「こんな感じでトレーニングを進めています。来週には理学療法士の縁下さんにも評価してもらうんで結果等はまた後日に報告するってことで」
「了解でっす…。んじゃ次のリーグ戦までには復帰できそうだな」
「トラブルなければな」
「そこは大丈夫でしょ?岩泉さんがついてんだから」
「あくまで俺はサポートする側だから。結果は本人次第ってとこだ」
「でも順調に回復して選手本人のやる気もかなりアップしてます!これって一番近くで支えてた岩泉さんのお陰ですよ絶対!」
「俺だってそう信じてる」
「私、ずっと岩泉さんのそばで見てきてよかったです。すごく勉強になりました」
「俺も柳瀬の熱心さはすげぇと思うよ。今日も遅くまで付き合わせて悪かったな」
「いえ!全然です!むしろ嬉しかったです」
「ちょうどいい時間だし岩泉さん、この後俺らと飯とかどうですか?」
「飯食いに行くの好きだな…。別にいいけどよ」
「柳瀬も行くだろ?」
「もちろんです!でも私一回帰ってからにしようかな。シャワーしたいし」
「だったら場所はいつもんとこでいいよな?」
「了解しました!じゃ、私先に帰りますね」
「気をつけて帰れよ」
「お前ら一緒に帰らねぇのか?」
「え?なんで?」
「なんでって。お前ら付き合ってんじゃねぇの?」