第68章 ❤︎ 青城3年とルームシェア
今夜の一静は及川とのこともあったからかいつも以上に優しい気がする。準備された下着もちゃんと上下セットで持ってきてくれてるし綺麗に畳んでくれてる。結婚したら絶対いい旦那さんになるよね、一静って。なんてまたよからぬ妄想もちらりと浮かんだ。
「なんか至れり尽くせりで調子狂っちゃうな」
「このくらいは普通だから。それに俺はいちかに謝らないといけないから」
「何を?」
「この数日間のこと」
「あー……、まぁ私も今はフリーの身だしさ。別に襲われたわけでもないし全部合意の上だし。一静も案外嫌いじゃないんでしょこういうの」
「いや俺は満足してるよ。こんなに興奮したのは初めてってくらい」
「じゃあ別にいいじゃん」
「良くないよ」
「どうして?」
「今日は違ったから」
「及川とのこと?でも及川とは今日が初めてじゃないよ?」
「そうじゃない」
「何が?」
「いちかのことめちゃくちゃにしていいのは俺だけってはっきり自覚したから」
真剣な眼差しにいつもよりやや低めの低音がストレートに突き刺さる。これは、所謂独占欲ってやつなんだろうか。私が何をしても1人平気そうな顔して傍観してるだけの一静じゃなくて、私に対して完全に男を見せつけられている、ような気がする。
「分かった。うん。分かったからちょっと待ってね。私、お風呂、入ってくる」
「俺も一緒に入ろうか?」
「無理」
言い逃げするように背を向けてダッシュを決めた。浴室までのわずか10mの距離を速足でに移動しただけなのに私の心音はうるさいくらいに高鳴って、若干呼吸も乱れている。汚れた衣服を脱ぎ捨て浴室のドアに背をつけ天井を見上げる。この先の時間が怖い。でもどうしたって期待してしまう。ここ数日が濃厚すぎて理性で物事が考えられなくなっている。シャワーの音に一静に抱かれた日が蘇る。すでに火照り始めた体はシャワーの温度を下げても収まりそうにない。