第68章 ❤︎ 青城3年とルームシェア
「休憩ってどうすんの?」
「もうすぐ着くから」
「でもさ、この辺ってラブホくらいしかなくない?さっきから何軒か通り過ぎたけど」
「今、空室のとこ探してる」
「やっぱラブホじゃん」
「どこも予約してないしこの時間じゃラブホ以外は無理だから」
「まぁねぇ……。あ、あそこは?空室ありになってるよ」
「じゃそこにする?」
「喉乾いたしお風呂入りたい」
「じゃあ決定だな」
「うん」
青い信号が光るゲートに吸い込まれるように車は敷地へと入っていく。県境にあるラブホなんて期待できないだろうなと思ってはいたけど、駐車場には造花だか本物だか分からない椰子の木が迎えて無人の受付には噴水まであった。
「何ここ日本?南国のリゾートみたい」
「そういうのが売りなんだろ」
「そうなんだ。今は海外なんて行けないもんね」
「雰囲気だけ味わうならこれで十分だな」
「うん。椰子の木は造花っぽいけどね」
呑気な会話を弾ませながら選択した部屋へ入ると機械音が〝いらっしゃいませ〟と迎えてくれる。大きなベッドが真ん中にどーんと置かれていて奥には浴槽へ続くガラス張りの扉がある。ベッドに腰掛けて目に入ったサイドテーブルのメニュー表を何気なく見つめる。
「一静とこんなとこに来るなんてなんか不思議。あ、見て。トロピカルドリンク無料だって。先に注文しとこうよ」
「いいよ。お酒も入ってなさそうだし」
「えーっと、注文はこれか…」
ごろんと寝転がりタブレット端末を適当に触ってみる。アダルトグッズのページも気になりつつもさっさと注文を済ませる。
「さっき帰った時にいちかの着替えは持ってきてるから。乾いた洗濯物の山の中から適当に取ってきた服だけど」
「持ってきてくれてるの?ありがとー!助かる」
「明日帰ったらまずはあの洗濯物片付けような」
「手伝ってくれるの?」
「俺でいいなら」