第5章 ❤︎ 三日間ハメまくった記録 黒尾鉄朗
「それで後悔してんの?今更」
「後悔はしてない。ただ、私でいいのかなって…」
「俺はさ、絶妙なタイミングで再会できたなとしか思ってないけど?むしろ彼氏とラブラブだったら俺、必要なかったじゃん。お前は甘えてるって思うかもしれねぇけど俺を頼ってくれて嬉しかった」
車は川沿いの道に入り、ホテルが立ち並ぶエリアが見えてくる。ほんとは色々見定めてから決めたかったけど、こんな話になったら今すぐにでも抱きしめたくなる。
「もう着くけどホテル、どこでもいいよな?」
「あ、…うん」
「じゃあ一番手前のとこにするから」
ウインカーの示す方向へハンドルを切り建物の中へと入ると昼間だと殺風景にも見える閑散としている。部屋ごとに区切られた駐車場へと車を停車させ、いちかのいる後部座席のドアを開けた。
「なんだよ、んな泣きそうな顔すんなって」
「だって…」
「ったくもう、これだからいちかちゃんは…」
「…いいの、私で?」
「俺がお前がいいって言ってんの。こうなったのも運命だなって思ってるから後ろめたさなんて感じる必要ねぇからな」
今にも泣きそうな不安に揺れる瞳も全部可愛くてバスタオルごと抱え冷えた体を抱き締める。いちかの甘い匂いと小さな体に触れるだけでこの抱えた思いが爆発しそうだ。
「お前の気持ちが俺に傾いてんなら俺はそれに期待するだけ。残りの時間、全部俺のことだけ考えて?」
「……うん」
「じゃあ遠慮なく本気で落としにいくから。…ま、その前にこの冷えた体どうにかしなきゃだから中はいるぞ」
いちかを抱えたまま部屋に続く扉を開ければ右手に鏡張りのバスルーム、奥は全体的にピンク色のベッドと家具が置かれたメルヘンチックな内装が迎えてくれた。