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不死川サンとの恋【鬼滅の刃•不死川実弥】

第12章 春疾風



「帰宅ー。キタクー。」

遠くの方から“カァカァ“と颯爽と黒い塊は、私たちの集団を見つけるとそう叫んだ。

「木月花耶、キタクー。コノミチ、ミギー!」

鴉は隠しの集団のから出てきた私をつぶらな瞳でぱっと捉えるや、すぅーっと飛んでいってしまうので、
 
「では、行って参ります。」

と慌てて先輩に挨拶をして鴉を追う。

「花耶ちゃん、気をつけてね〜!」

先輩の優しい見送りを背中に受けて必死に走る。
息を切らして走る私の前を青い空を滑るように美しく飛んでいく。

時折り、

「ヒダリー」

「ミギー。」

と道案内してくれるのだが私の知らない小道ばかりで一体どこに向かっているのか…。

「ごめんなさい、ちょっと待ってっ…」

息も絶え絶えに鴉に話しかけてみる。

「ドウシタ?」

「あなたは?」

「爽籟(ソウライ)、サネミのツカイ」

(サネミ…?)

走りすぎていつも以上に頭が回らない気がする。
気を取り直して、

「どこに向かってるの?」

と聞いてみる。

「シナズガワテイにキマッテルダロォ」

ということは、爽籟は不死川サンの鴉…!?
ちょぴり、話し方も不死川サンみたい。

続けて鴉は、

「サネミ、花耶のカエリマッテル。」

(サネミは、不死川サンの名前…?)

「ねぇ、不死川サンって、不死川さねみなの?」

カァと爽籟が答える。

(不死川サン具合でも悪くなってしまったのかな?)

突然の迎えとこの早足に一抹の不安がよぎり、恐る恐る爽籟に問いかける。

「不死川サンに何かあったの?」

「サネミハ、稽古中!」

という意気揚々とした返事にほっとする。

「爽籟、ありがとう。」

と言うと爽籟はカァと照れくささそうに鳴き、また花耶を先導するように飛んだ。
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